
2025.4.7 No.458 校長 山口 旬
時を超えてもつながる力
横須賀学院小学校は大きな家族のような小さな学校です。
先月、長男長女たち6年生が卒業し、今日、あらたに16名の1年生が入学してきました。 今年もまた新しい営みが始まります。一番大きな6年生は、すでに先週金曜日から新年度準備で汗を流してくれました。この時期、新入生を迎える6年生は大化けします。大人への一歩を踏み出すのは、この時からなのです。キリスト教教育の集大成として完成を目指して歩み出す今年1年間の大きな活躍を期待しています。
さて、先月3月下旬、現在26歳になる卒業生の同窓会がありました。卒業記念で埋めたタイムカプセルの開封を2025年3月23日と卒業アルバムに明記してしまったため、集まらざるを得ないというか、おかげで集まれるというか。さて、ちゃんと埋めたはずだし、卒業アルバムに宝の地図を書いたのに、埋めた時の記憶はみんなバラバラで、イヤそこじゃない、絶対あっちの場所だった、そんなところには埋めてない、たしかにあそこで埋めた君の姿を覚えている、じゃあこの宝の地図は何なんだ。まるで花咲かじいさん「ここ掘れワンワン」と汗をかきかき、掘れども掘れども瓦礫と小石がガーラガラ。
彼らが卒業したのは2011年3月。あの東日本大震災の年です。卒業行事の準備でてんやわんやしているときに地震が起きました。ゆ~らゆ~らと、まるで遊園地の乗り物のようにゆったりと、それでも大きく揺れ、池の水がバッチャバチャあふれ、全員チャペル2階の小チャペルで待機。その時の話は詳しく書くときりがないので割愛しますが、その後京急も計画停電で運行ままならず、すべての卒業行事も修了式も中止。卒業式は保護者と5年生有志のみ参加で、後日実施しました。チャペルが新築されて初の卒業式でした。当時6年生を担任していた私にも忘れられない学年です。
当日は昼に集まり、互いの近況報告をしてひとまず盛り上がり、いざ男どもがスコップで掘り始めて3時間。農作業なんぞ全くしたことのない、我々ヤワな若者たちのへっぴり腰のパワー不足は如何ともしがたし。掘れども掘れども瓦礫ばかりで、出てくる雰囲気みじんもなし。お、出てきたとの歓声に、見れば違う学年のタイムカプセルなりしや。これ、うちらのじゃないし。でも掘り出してしまったものは仕方がない、きれいに洗って埋め直し。結局我らのタイムカプセルは見つけることはできませんでした。確かに埋めたはずなんだけど。20㎝横を掘ればよかったんじゃないか? 何だったんだろうねーと大笑いしながら、じゃあまた来年リベンジで集まって掘ろうぜと、再び集まる理由が出来たとポジティブに喜びながら二次会に繰り出していったのでした。
互いに今の仕事やらロマンスやらを語りながらも、口々に「小学校の同窓会で集まるなんてすごいねって言われた」とのこと。この絆は、そんじょそこらの繋がりとはわけが違うぞー!と乾杯。互いに6歳からの付き合いです。いまさら隠し事もないし、昔のゴタゴタもすべて思い出の一つ。大人になっての再会は、新しい出会いとなって今後も繋がっていくのでしょう。幼いころからのすべてを知り、多くを経て許し合える仲間がいるのは幸せなことです。ちなみに、この席では誰も私に敬語を使ってくれません。みんなタメ口。まあ家族だし(笑)
我らのタイムカプセルは、今でも理科室裏のどこかに埋まっているはずです。
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