小学校だより 2024年7月

2024.6.28  No.448  校長 山口 旬

好きなことを信じる力  電車の二人

 ある日曜の朝、東京の実家から横須賀の教会へ行くために京急泉岳寺から乗車。元来のオタク気質のため始発2100系二つドア最前列運転席真後ろの席へ。よしよし、これで1時間は楽しめるぞ。
 さて品川から乗ってきた少年がかぶりつきで最前へ。次の京急蒲田でもう一人の少年が乗り込み彼の隣へ。「お、600系来たー」「逗子葉山始発の急行だぜあれ」「いけー六郷土手通過―」「このポイントの揺れぐあい最高だよなー」
なんとはなしに独り言から掛け合いのように会話が弾む。
「おーっしここからスピードアップ」「110キロ区間突入」
いちいちすれ違う対面の上り電車の解説が入る。
「ブルートレイン来たー」「俺、イエローのが好き」「あれは○○のときの○○しか走らないんだぜ」
「そうそう〇〇だと○○なんだよなー」(門外漢には専門的すぎて理解不能)
「〇〇系だと〇〇なんだぜ」「知ってるー、〇〇なんか〇〇で○○するってやつな」「この前○○が○○だった」
こっちはちんぷんかんぷんだが周りも彼らの会話についつい耳を傾けてしまう。
「なー(君)電車好きなの?」「好きー」
そりゃ好きでしょ。こんだけ盛り上がってて何をいまさら(笑)。
さて電車は横浜駅を出て黄金町の大岡川の脇を快走。
「出たー桜絶景花見スポット」「ここ桜ン時は最高だよな」「あ、そこそこ、あの幼稚園最高だよね」
「桜見えて京急見えたらもう最高じゃん」「あーオレ、あの幼稚園に入りたい」「おれもー」
イヤもう君たち小学生でしょ。あまりにも楽しく幸せそうな会話にまわりの大人たちは笑いをこらえて、じゃなくほほ笑みが自然に湧いてくる。
 そして一人は金沢文庫で降りていきました。
「じゃあなー」「またなー」
 もう一人も金沢八景で降車。とたんに脇にいた夫婦が堰を切ったように話しだします。
「今の子たち、最高! うちの子と友達になって!」「見ず知らずの二人だよね。なのにあんなにあんなに楽しそうに親し気に話してさ」「ああいう子がうちにいたらいいなあ」「好きなことがあるっていいねえ」
 まわりの人も口々に同じ話をしています。約30分間二人の会話に癒された車内でした。
 スーパー戦隊の魔進戦隊キラメイジャーの主題歌にありました。
♪真っ白なスケッチブックにすべり始めた線 どこまでも行ける気がした♪
♪未来が始まる風を掴んで上昇 好きなことを信じる力 キラキラ輝くためにぼくらはめぐり逢った♪
 そう、好きなことは生きる糧、自然と伸びていくもの。それが生きる力につながっていくのです。
 学校はたくさんのことを経験して、自分の好きなことを新しく発見する場でもあります。だからいろんな授業、いろんな体験を通して、新しい発見、知らなかった世界を知り、自分の好きなことを見つけていくのです。

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