小学校だより 2024年10月

2024.9.30  No.451  校長 山口 旬

異文化理解と隣人愛

 今年も文化祭でバングラデシュとタイの店を開きました。この活動を始めて26年目になります。文化祭で出店するのはコロナ3年間を除き23回目。10年前までは毎年のようにバングラへ行って楽しく買い出ししていたものですが、2016年ダッカテロやコロナで最近はなかなか現地に行くこともままなりません。昨年10年ぶりに行けたのですが今年はまたデモの激化でツアー中止のため、事務局在庫の定番商品を並べ、ベンガルティー喫茶で少なくとも灯を絶やすことのないように細々と続けています。
 今回はもう一つバンコクYMCAパヤオセンターのバッグも販売しました。仕入れ値で販売しているのでYで買うよりちょっぴりお得価格。このパヤオも25年前からの繋がりで、機会があればバッグを仕入れて店頭に並べていました。今回は横浜YMCAのスタッフが来校されて文化祭前に特別授業で現地の話をしたことで子どもたちの意識も高まりました。毎年商品を仕入れても売れるかどうか賭けなのですが、今年は事前授業などもあって売れ行き好調、予定の1時間前にはほぼ完売です。感謝。
 バングラもパヤオも作ったものを現地で売るよりも、日本で売った方が、はるかに利益が出る。ならば「日本で売るお手伝いをしよう」というのが目的、売り上げにはこちらの儲けは一切なし。そこが文化祭と一般の店との違いです。また文化祭とは「何か買わなきゃ心理」&「想い入れに共感してつい買っちゃう心理」で売れ行きがとてもよろしい。バングラのヤモリも本校以外ではちっとも売れないんだとか。ゆえに事務局のヤモリはほぼすべてうちに来ています。
 こういったアジアのいわゆる経済的に貧しいと言われる国のことを知るのは、国際交流の中でも大きなジャンルの活動です。「先進国」に出かけていくのも貴重な体験ですが、日本より「不便」で「貧しい」国に触れてこそ得られる貴重な経験があります。そしてそれこそ若いうちに触れてほしいもの、その後の生き方に直結するものなのです。
 ダッカテロ以前は毎年のように小学校出身の高校生がバングラを訪れていました。私たちにとっても小学校で蒔いた種が芽吹き花咲くのを見るのは大きな喜びでした。その頃のバングラは今よりはるかに貧しかった。(この10年でいきなり急成長) 多くの学生が自分自身の生き方を顧みさせられ、中にはその経験によって進路を変更したりアジアをより深く学ぼうとした人もいます。
 私たちはキリスト教の学校です。聖書の教えを学び、イエスの言葉を指針として、隣人を愛することのできる人になってほしいという願いで教育をしています。キリスト教の教えが他の宗教とものすごく違うわけではありません。基本的にはいいことをしようね、自分のためだけでなく人のために力を尽くそうね、それはみな同じです。
 イエスの言葉「わが兄弟なるこれらのいと小さき者の一人になしたるは、即ち我になしたるなり」
あなたの身近で困っている人がいてそれを助けたなら、すなわちそれは神さまにしたことなんだよ。それが隣人なんだよ。かつてバングラの支援を始めた時にはその想いがありました。
 私たちにできることがあるならしようじゃないの。知ってしまった以上知らんぷりはできないや。その気持ちが隣人愛につながっていくのです。

2024年度

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