2024.12.20 No.454 校長 山口 旬
こだわりのクリスマス
クラシック音楽の沼に落ちると、ちゃんと段階を踏んで曲にハマります。
先月書いた谷川俊太郎も「僕はベートーヴェンから入って、モーツァルト、バッハ、ヘンデル、ハイドン、みたいな感じで聴いてきた」。私のクラシック遍歴はブラームス→ベートーヴェン→モーツァルト→バッハ→ベルリオーズそしてロマン派。この中でドイツ三大Bのベトブラバッハは基本中の基本。
クラシックは季節で決まった演目を上演します。年末は第九(日本だけ)、クリスマスに「メサイア」「くるみ割り人形」、年越しは「こうもり」、正月はワルツ、イースターにはマタイ受難曲。この中でマタイだけは「楽しく」聴けない曲です。ただ全曲3時間聴くと圧倒されて信仰が芽生えちゃうのがマタイ。
来年の6月、そのマタイ受難曲の演奏会に小学生の児童合唱のお誘いが来ました。3時間78曲中2曲だけ児童合唱が加わるパートがあります。大人の合唱の後ろから天使が降り立つような美しいソプラノが降ってくる。ああもし私が子どもだったら必ず参加するのに。(次年度高学年になる現4・5年には案内を出しましたが、現3年生もお志あらばまだ申し込み可能ですのでくわしくは山口まで)
さて年末になると日本のクラシック界は例外なく第九一色に染まります。欧米で第九は超特別な日にしか演奏されません。おそらく世界で一番第九を演奏しているのは日本のオケでおそらくみんな暗譜で演奏できちゃうんじゃないかとも言われます。
第九は年末行事であってクリスマス曲ではありません。クリスマス曲はヘンデルのメサイアということになっており、本学院でもメサイアは重要な年間行事。でもよーく考えるとメサイアはクリスマス曲なのか? 実はメサイア全3部中イエスが生まれるのは第1部の12曲目For unto us a child is bornであって、そこからはイエスの受難の日々が歌われていきます。第2部の最後でハレルヤコーラス。一番のクライマックスだけどハレルヤって復活の喜びであってそれってイースターじゃん。(いえいえそんな身もふたもないこといったらダメ。イエスの誕生即ちその降誕と一生そのものをお祝いするのです。はい)
なのでホントにクリスマス用の曲で有名どころはバッハのクリスマスオラトリオ。これは6部あって12/25~1/6に分け一日に1部ずつ歌うことになっています。
なんで1/6? それはクリスマス物語は12/25に始まって1/6まで続くからです。我々のページェントの羊飼いの場面もヘロデと博士の場面も、あれってみんなクリスマス以降の話。だって12/25に生まれてから羊飼いのお告げだの博士の星だのと話が進むのです。だからラストの勢ぞろい場面のあれは1/6です、カレンダー上は。まあそんなこというとデリカシーもファンタジーもないので習慣・文化としてとらえるものなのですが、オタクという生き物はこだわりが強くて面倒くさいものなのです。
なので、みなさん12/25過ぎてさっさとツリーを片付けるんじゃなくて、クリスマスは正月明けまで続くんですよ。だから無理して25日にケーキ食べなくてもいいんです。翌日以降は安くなるからすこし遅れてクリスマスケーキやシュトーレンを買うのがコツです。じゅうぶんキリスト教的に正しいんですから。