前期終業式校長挨拶

 あっという間に前期が終わり、今日は終業式でした。こんな言葉を子どもたちにおくりました…。

「あなたがたはそれぞれ賜物を授かっているのですから、神の様々な恵みの善い管理者として、その賜物を生かして互いに仕えなさい」(ペトロの手紙第4章10節)

 プールに入って歩いて前に進もうとすると、水が押し返してきてゆっくりとしか進むことができません。それから、そう、空気は目に見えません。だから前に進んでも押し返す力はないように感じます。でも例えば風が吹くと、空気の強い力を感じます。自転車のロードレースでは、先頭、一番前を走るのは不利だと言われています。だから先頭の後ろを走って、ゴール前で抜くという作戦があります。一番前は、空気の押し返す力をひとりで受け止めなければならないからです。

 この押し返す力がなければ、水の中でもぐんぐん進めるのに。自転車でも一番前をグイグイ走ることができるのに…。でも、ちょっと考えれば分かりますよね。その押し返す力がなくなったら、どうなるか。

 それはこういうことです。

 歩き始めて一歩踏み出す時、足の裏は地面を押します。地面はその足の裏と同じ力で、足を押し返します。だから人は前に進むことができるのです。もし地面が足を押し返さないとしたら、田んぼとか、沼とか、雪の中を進もうとする時のように…分かりますよね?ずぶずぶと沈んでいって、前に進むことはできないでしょう。固いものは押し返す力が強いのです。水は弱い、弱いけどその押し返す力があるから、平泳ぎとかクロールとかで進むことができる。空気は押し返す力がないように感じられる。でもその押し返す力がなかったら、凧あげの凧は上がらないし、飛行機も空を飛ぶことができないでしょう。

 前期が終わります。前期の間に色々なことがありました。嬉しいこと、楽しいこと、わくわくすること、ひょっとして心がチクッと痛むこと。それは皆さんが、一歩踏み出したからです。その踏み出した一歩に対して世界が押し返してきた。その力を感じて、みなさんの心が動くのです。

 リズム良く、テンポよく走り出した時、気持ちはわくわくするでしょう。自分はきっとこれくらいの速さで、これくらいしか走れないだろう。そう思っていた自分が、あれ?まだ頑張れる。自分は自分が感じるよりもっともっと強くなっている。そう気が付いた時には、嬉しさでいっぱいになるでしょう。世界がみなさんを押し返して、応援してくれているのです。

 時には足の裏に傷があって、一歩一歩に痛みを感じるでしょう。それは世界がみなさんに少し休みましょうって。ここに傷がありますよって教えてくれているんです。そんな時には、「そうか」って思って、「ふーん」って思ってちょっと休んでみるのも良いでしょう。

 どうぞそうやって、自分の心、お友だちの心を丁寧に感じ取ってください。それが「神の様々な恵みの善い管理者」ということです。

 自分では気が付いていないかも知れませんが、小学生であるみなさんの笑顔がどれだけ私たちを励ましていることか。希望ってみなさんのことです。未来って、そもそも賜物って、みなさんのことなんです。みなさんは、それぞれその希望・輝きを生かすように、力を合わせてください。

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